営業をしていると、どうしても「何を話すか」に意識が向きます。
どんな提案をするか。
どう説明するか。
どの言葉を使えば伝わるか。
もちろん、それは大事です。
ただ、実際にお客様と接していると、
提案内容そのものより前に、
「この人には話しやすい」
と思ってもらえるかどうかで、商談の空気がかなり変わると感じることがあります。
『人は話し方が9割 2』を読んで、改めて思ったのはそこでした。
話し方というと、うまく話す技術を想像しがちですが、
本当に大事なのは、相手に安心してもらえることなのかもしれない、と感じます。
営業の現場でも、こんなことはよくあります。
・初回商談で相手が少し固い
・こちらばかり話してしまう
・質問しても表面的な返答しか返ってこない
・説明はしたのに、関係が深まった感じがしない
・提案内容より前に、空気づくりでつまずいている気がする
今回はこの本を、営業で人と接する立場の人に向けて、自分なりに整理してみます。
『人は話し方が9割 2』は、
会話のうまさを競う本というより、
人との距離をどう縮めるかを考える本だと感じました。
前作も有名ですが、今回はより
「相手にどう心地よく話してもらうか」
「関係をどう育てるか」
に重心がある印象です。
営業は、商品やサービスを説明する仕事でもありますが、
同時に、人と関係をつくる仕事でもあります。
その意味で、この本は営業にかなり相性がいいと思いました。話し方を変えるというより、
会話に向かう姿勢を少し整える本だということです。
この本を読んで印象に残ったこと
1. 相手が話しやすい空気をつくれる人は強い
営業をしていると、
自分が何を話すかばかり考えてしまうことがあります。
でも、商談がうまくいく人を見ていると、
自分がうまく話しているというより、
相手が自然と話していることが多い気がします。
こちらが無理に盛り上げているわけではないのに、
相手が少しずつ本音を出してくれる。
課題や迷いが出てくる。
会話が一問一答で終わらない。
こういう状態をつくれる人は強いです。
たぶんそれは、質問力だけの話ではなくて、
相手が「この人には話しても大丈夫そうだ」と感じられる空気をつくれているからだと思います。
営業では、つい沈黙を埋めたくなります。
少しでも価値を出そうとして、こちらが話しすぎてしまうこともあります。
でも実際には、話しすぎることで、
相手の考える余白や話す余白を奪ってしまうこともあります。
会話の主役を自分にしすぎないことの大切さを改めて感じました。
2. 正しいことを言うより、感じよく受け止めるほうが大事な場面がある
営業をしていると、どうしても
「正しく説明しないと」
「誤解なく伝えないと」
という意識が強くなります。
それ自体は大事です。
ただ、相手が心を開く順番は、必ずしも
正しい説明 → 信頼
ではないことも多い気がします。
むしろ、
ちゃんと聞いてくれる
急がせない
雑に扱わない
否定しない
こういう感覚のほうが先に信頼につながることがあります。
たとえば、こちらが正しいことを言っていても、
相手が少し話しにくさを感じていたら、本音は出てきません。
逆に、すごくうまいことを言わなくても、
「この人、ちゃんと聞いてくれるな」
と思ってもらえれば、会話は前に進みます。
営業では知識や説明力も必要ですが、
相手が話しやすいと感じる姿勢は、それ以上に土台になることがあると思います。
3. 会話は成果を急ぎすぎると固くなる
営業では、限られた時間の中で
課題を引き出して、
提案の方向性をつくって、
できれば次のアクションにもつなげたい。
そう考えるのは自然です。
でも、その気持ちが強すぎると、
会話が少し固くなることがあります。
相手からすると、
「聞かれている」
「見極められている」
感じが強くなってしまうこともあるからです。
自分自身も、初回商談や大事な面談ほど、
つい急いで価値を出そうとして、
結果的に会話が浅くなることがあります。
会話はその場で全部決めにいくものではなく、
関係を一歩進めるものでもあるということです。
営業では特に、
一回の商談で全部を取りにいこうとしすぎると、
かえって相手が構えてしまうことがあります。
少し遠回りに見えても、
安心して話してもらえる時間のほうが、
あとで効いてくることは多いはずです。
営業の現場でどう活かせそうか
営業の中で特に変えたいと思ったのは、次のようなところです。
初回商談では、すぐに説明しすぎない
初回は特に、
「ちゃんと価値を伝えなければ」
と気負いやすいです。
でも、最初から説明を詰め込みすぎると、
相手は受け身になりやすいです。
だからまずは、
相手が話しやすい状態をつくることを優先したほうがよさそうです。
たとえば、
最初の数分でこちらが話しすぎない。
質問したあとにすぐ次を重ねない。
反応を急がず、相手のペースを見る。
そんな小さなことでも、空気は変わると思います。
ヒアリングでは、回収ではなく会話を意識する
営業のヒアリングは、
どうしても「必要情報を取りにいく時間」になりがちです。
もちろん確認事項は必要です。
ただ、項目を埋めることばかりに意識が向くと、
相手にとっては尋問のようになってしまいます。
質問を投げることより、
相手が自然に話せる流れをつくることのほうが大事かもしれないと思うようになりました。
質問の数を増やすより、
一つ返ってきた言葉をちゃんと受けて、
少し広げる。
そのほうが結果的に、本音や背景が見えやすくなる気がします。
提案前に「この人は何を話しやすいと感じるか」を考える
営業では、相手の課題を考えることはよくあります。
でも、
「この人はどういう会話だと安心して話せるか」
まで考えることは意外と少ないかもしれません。
理詰めで進めたい人もいれば、
まず関係性を大事にしたい人もいます。
先に結論がほしい人もいれば、
背景から聞きたい人もいます。
そうした違いを少し意識するだけでも、
会話の進め方はかなり変わるはずです。
話し方とは、うまいフレーズを持つことより、
相手に合わせて空気を整えることでもあるのだと思います。
自分の日常でこう活かしたい
本を読んで終わりだともったいないので、
自分ならまずこの3つを意識してみたいと思いました。
1つ目は、
商談の最初の5分で「自分がどれだけ話したか」を気にすることです。
価値を出そうとするあまり、
最初からこちらが話しすぎていないか。
これはかなり見直したいポイントです。
2つ目は、
相手が話した内容に対して、すぐ次の質問に行かないことです。
聞いたら回収する、
ではなく、
いったん受け止める。
少し広げる。
その一呼吸が、相手の話しやすさにつながる気がします。
3つ目は、
商談後の振り返りを
「何を提案したか」だけでなく、
「相手は安心して話せていたか」
でも見ることです。
提案内容や論点整理だけではなく、
会話の空気そのものを振り返ると、
改善の視点が少し変わりそうです。
まとめ
営業で信頼される人は、
話がうまい人というより、
相手が安心して話せる空気をつくるのがうまい人だということです。
もちろん、提案力や説明力は大切です。
でも、その前に
相手にちゃんと話してもらえる状態をつくること。
会話を急ぎすぎないこと。
正しさだけで押し切らないこと。
そういう土台があるだけで、
営業の伝わり方はかなり変わるのだと思います。
人と話す仕事をしている人ほど、
一度立ち止まって考える価値がある本でした。